リレーエッセイ -- 気ままな独り言(2002年4月15〜30日)


最近、感じてることや、昔話などをとりとめもなく、書こうと思います。
私の専門はコンピュータネットワークです。

コンビビアル

私のゼミのモットーは「コンビビアルなゼミをめざして」です。
conviviality。なんか聞きなれない言葉だと思いますが、辞書には出ています。

情報数理学科という名称

どうです?「情報数理学科」かっこいい名前だと思いませんか?
数理というと数学ではないもっと理論めいたものを想像しませんか? 私は計算とかが苦手です。
でも、数学は好きです。
私が大学受験をめざしたころ、東京教育大学に応用数理学科があったのです。
そこをめざして勉強して、無事に入りました。 当時は、2年にならないと、コンピュータは触われなかったのですが、
私は、もぐりで、1年のときからコンピュータ室に出入りしてました。 おかげで、みんなより1年早くスタートがきれました。

読書100遍(どくしょひゃっぺん)

どういうことだかわかりますか?
本を読んでいてわからない部分が出てきたとき どうしますか?あきらめますか?
あきらめてはいけません。他人に聞くのも いいでしょう。でも、周りにはそういう人がいなかったらどうしますか?
そうです。読書100遍です。何回も何回も 何回も同じところを繰り返し読むのです。
そうすると、不思議なことに、ある瞬間すべてが理解できるのです。

マウス

コンピュータに出てくる「マウス」というと、いまはだれでも、なんのことか わかりますね。
ところが昔はそうではないのです。
1970年代ぐらいのことでしょうか。当時、やっとマイコンという言葉が 出始めたころだと思います。
4004とか8080とか6800とか6502という マイクロプロセッサユニット(MPU)が騒がれたころです。
当時、「I/O」と呼ばれる日本最初の
マイコン雑誌が出たころでした。まだまだ、最新の状況を知りたければ、どうしても
アメリカのコンピュータ雑誌を読まなければいけない時代に、
BYTEというアメリカの雑誌がありました。毎年、8月号は言語の特集を
組んでいます。1981年8月号には「SmallTalk」が言語特集に
載りました。オブジェクト思考言語の祖と言われる言語です。
これにとっても興味がありましたから、この本を読んでいました。
とても、新鮮な感激がありました。この本の中でしきりにmouseという単語が出て
きます。mouse(ネズミ)ねぇ?なんで、ネズミがコンピュータと関係あるんだろう。
なにか、とても重要なように書いてあるけども。すぐにはこの単語が
理解できませんでした。きっとmouseというのはネズミ以外に別の意味があるに
違いないと辞書を調べてみたけれどん、それらしい訳は出てこない。
さて、どうするか。ここでさきほどの「読書100遍」です。
わからないので、何度も何度も繰り返し、読みました。
この本は私の貴重な本になっていまでも保存してありますが、
もうボロボロになるくらいに読み返しました。そのうち、ある写真に気がつきました。
もちろん、記事に関係ある写真でコンピュータが写ってたわけですが、いままで
何気なく見ていた写真なんですが、ふと、そこにネズミのようなものが見えました。
あれ?これがネズミなのかな?この装置をマウスだと思って、読み返してみると、、、
ああ、そうだそうだ、ぴったし当てはまる。ああ、これのことを業界では
マウスというのかと
納得したしだいです。初めて見るGUIを持ったコンピュータなのでした。
コンピュータはゼロックスのAltoでした。このAltoが、きっかけでアップルは
パーソナルなGUIコンピュータ、リサを、マッキントッシュを、作り始めるのです。

JUNET

JUNETといういのは日本でのインターネットの前身です。
実験的に日本でインターネットを開始したときに、junetという名称に
しました。昔は東海大のアドレスはは u-tokai.junetでした。たとえば、私の昔の
アドレスはkamii@u-tokai.junetでした。日本で正式にインターネットが認められたとき
junetという名称は消え、国際的な標準形式のkamii@ss.u-tokai.ac.jpという
名称になりました。じつは、東海大でのインターネットは
情報数理学科から始まったのです。それから、計算センターが引き継いで
いまのように大学全体でインターネットが使われるようになったのです。
最初のころは、私の「オペレーティングシステム」を受けてる学生だけに
アドレスを授与しましたから、このころは、他学科からもたくさん私の授業を
受けにきました。もちろんアドレスが欲しいためでした。
いまはそんなことは不必要になり、全員が入学時に、アドレスを
もらえるようになりました。

街の数学屋さん

これが私の呼び名です。
とてもおこがましくて数学家(すうがくか)とは言えないから、
数学家ではなくて数学屋(すうがくや)です。
「街の」というのは、それほど高尚なことをしてるわけではないから。

未成年の主張

タバコを吸う学生がいます。どうみても、未成年のようなのが。 ほんと、叱ってやりたいです。
そんなとき、私は「未成年の主張してどうすんの!」 と言ってやります。
タバコは一本(一箱ではなく)千円くらいにすれば、あるいは 規制して、ニコチンパッチかニコチンガムだけにすれば、
世の中、変わると思うのだが。。。

kintaro

これは、私が長年追い続けている、ライフワークとも言える研究です。
kintaroというのはコンピュータ言語でもあり、環境でもあります。
つまり、このうえですべてのことをやってしまおうというものなのです。
え!わからない。そうですね、これだけではなんのことかわかりませんね。
世の中には、いろんな制御したいものがたくさんあります。
そうしたもののプロセスを簡単に記述してしまおうと考えたわけです。
いまは、動物を使った実験制御に利用されています。ロボットにも
応用できます。いまなら、老人介護に一役買えるものでもあります。
この言語のベースはFinite-State Automaton、オートマトンです。
ただし、そのままでは効率が悪いので、拡張をしています。
環境だというのは、この言語だけではどうにもならないですから
これをランタイム・システムでくるんだのです。全体としてkintaroです。
いわば、UNIXが(OSでなく)環境であるのと同じ理屈です。
さて、この言語kintaroはどのくらい有名になれるでしょうか。
これから、いかにこれを広めていくか、これが、今後の問題です。
PascalやLispほど有名にならなくても、ForthやL6くらいの知名度が
もてるようになるでしょうか。ならなきゃ、私の人生なんだったのかぐらいの 勢いです。

誤解のススメ

誤解やハヤトチリは好んでしてください。これが、 あたらしい発想の原動力になります。
今日も私は誤解をしてしまいました。しかし、そこから得るものも大きいのです。
世の中が発展してきたのは、その功績が大きいと思います。
ある失敗をしてしまった。そのとき、落ち込むのではなく、
だったら失敗をなくす工夫をすればよいと考えたり、
その誤解が誤解でなくなるように変えてしまうよう、 発明でもって成し遂げたり、そうやって進歩があったと思います。

現代の原始人

現代のこのコンピュータ社会において、まだコンピュータがうまく使えなくて
あきらめて、放棄してしまっている人間は現代の原始人と言えるでしょう。
この原始人をなんとか、古代人くらいには、してあげたいと思うのが
私の仕事です。はたして、何人の原始人を救えただろうか。
その中には、古代人から、近代人、そして現代人になった人もいます。

・・・続く・・・

次にリレーのバトンタッチをするのは小舘先生です。
(文責:神居雅志)